ひるねスカッシュ

日々の雑記。面白かった本や映画など。ミニマリスト。

夢枕獏「魔獣狩り 鬼哭編」感想

読みました。

夢枕獏の「魔獣狩り 鬼哭編」。初期の3部作の最終巻。

本当に鬼気迫る物語で、10代の頃に読んだんですけど、改めて読み返して、凄いなあと思いました。

凄愴。凄惨。残酷で恐ろしい物語なんだけど、一抹の美しさと寂しさがある。

自分を取り戻すため、復讐の鬼となって戦い続けた文成は、自分を取り戻せたのか?復讐は叶えられたのか?

結局それは挫折して、彼は巨大な喪失をした状態、心にぽっかり穴が空いた状態で、一旦物語は終わってしまいました。

空海の「不老不死」の謎もなんだか宙ぶらりんだし、、、結局、不老不死なんてものはなかったっていうことなんですかね?空海のミイラに残ってたのは人間の欲望が極度に肥大したもので、それが黒御所に乗り移ってああなったっていうこと?

なんかわかったようなわからないような…。

文成は、やってることめちゃくちゃなんだけど、憎めない。なんとかして救われてほしいと思う。

私同様にそう思った読者も多かったのでしょう、結局この後も何十年にも亘って、物語は続いていくことに…。

というわけで、さっそく続編も読んでいきたいと思ったのでした。

作者の獏さんもあとがきで「新たな物語もまた文成から始められるべきであろう」とか言ってて、めっちゃ煽ってます。この商売上手。